【コラム】FTX危機で暗号資産は終わってしまうのか?

投資

みなさんこんにちわ!

投資家兼ファイナンシャルプランナーの山本です。
本日は、先週末に大激震が起こった暗号資産取引所「FTX」の破綻から、今後の暗号資産がどうなっていくかを見ていきたいと思います。

暗号資産は2022年に入り、インフレ進行によるFRBの大幅な利上げで株価と一緒に下がっていますが、それ以外に、5月のテラルナショック、6月の3ACの破綻と界隈を脅かすネガティブな出来事が起こり低迷しています。
そこで、今回は大手暗号資産取引所「FTX」の破綻によりビットコインは9月に付けた年初来安値を更新し、ドルベースではピークより75%も下げている状況です。
昨日も、HuobiとGate.ioの取引所の不正疑惑が出ており、取引所の倒産連鎖なども危惧されしばらくは相場が荒れる見込みです。

本日は、ファイナンシャルプランナーではなく、一投資家として自分の考えをまとめる目的でコラムを書こうと思います。
決して、本業のFP業で暗号資産への積極的な購入などを扇動するものではありません。

この記事でわかること
・FTX事件の概要、原因
・日本国内の取引所が破綻したケース
・筆者の暗号資産に対する長期的な目線
記事の内容
・FTX破綻事件とは
・FTX Japanの対応
・暗号資産の今後の見通し

FTX破綻事件とは

世界で直近まで第3位の規模で暗号資産取引所を運営していたアメリカのFTX社が2022年11月11日に破綻した事件のことです。
負債総額は数百億ドルの規模であり、米連邦地検とSEC(米国証券取引委員会)が全容解明に動き出しました。

問題発覚から破綻までの流れを時系列で整理したいと思います。

11月7日:バイナンスがFTX取引所のトークン「FTT」を売却すると発表
11月8日:FTTトークンが暴落し、FTX取引所から暗号資産の引き出しが中止に
11月9日:バイナンスがFTX社を買収すると法的拘束力の無い合意書を締結
11月10日:バイナンスが買収を断念 FTXが80億ドルの資金不足で調達できないと破産との報道
11月11日:FTX米連邦破産法11条を申請し破綻
(時間はすべて米国時間)

ご覧のようにたった4日で世界第3位の取引量を誇っていた取引所が破綻というドラマのような展開に暗号資産は怖いと思った方が多いかと思います。

何故このような大きな取引所がわずか4日で破綻に至ったか見ていきましょう。

遡ること破綻の9日前の11月2日、暗号通貨メディアのCoin DeskがFTXの創設者バンクマンフリード氏(通称BMS氏)が自ら設立したアラメダ・リサーチ社が資産146億ドルのうち、約60億ドルがFTX社が発行しているFTTトークンに関連しており、実際の現金は約1.3億ドルしか保有していないことをリークしました。
このリークをもとに資金の流出が相次ぎ、バイナンスのCZ氏の資金引き上げツイートで市場が大パニックとなり、破綻に至りました。
BMS氏は、FTX取引所で預かっていた顧客資産を流用しアラメダ・リサーチ社へ約100億ドルを融資し、ベンチャー企業への投資に使っていたとされています。
一時は2兆円を越す純資産を保有し、時代の寵児となったBMS氏ですが、これからは顧客の資産の流用、詐欺など司法当局の厳しい追及をうけることとなるでしょう。
アメリカでは、暗号資産取引所の管轄が商品先物取引委員(CFTC)と証券取引委員会(SEC)のどちらが行うか未だ明確になっておらず、日本の改正資金決済法のように顧客の資産の分別管理や破産時に顧客優先する規制が存在しておらず、今回の破綻により、米国の投資家は失った資産が返ってこない可能性が高くなっています。

このニュースを見てみなさんどう思いましたか?
あり得ない!何でそんな杜撰な管理なのだ!と金融機関としてあり得ないとお思いになった方がほとんどだと思います。
実はこの会社、日本でも取引所として上陸していて、エンゼルスの大谷翔平選手をCMに起用し日本でも活動しているのです。
次に日本のFTX JAPANの対応がどうだったかを見ていきましょう。

FTX Japanの対応

米FTX社の危機が明るみに出て以来、日本のFTX JAPAN社はTwitterを通し、顧客の資産はコールドウォレットで保管されていること。現金については、信託口座で分別管理されていることを告知し、内訳も公表していました。
一方で、親会社米FTX社と同時に日本法人のFTX JAPAN社も破綻申請を行っており、現段階で出金ができない状況となっています。
ここからは、日本の暗号資産交換業者の倒産時に、預かっていた暗号資産を顧客に優先的に返還するため規定を作った資金決済法とアメリカの破産法制のどちらが優先されるかがポイントとなります。
しかし、日本のFTX Japanについては日本の法人であり、改正資金決済法に基づき、顧客の資産を分別管理していることからアメリカ側との調整に時間を要したとしても顧客に資産が返ると考えます。
本日11月15日の日経新聞に記事にFTX Japanの顧客は数万人いるとのことで一日も早く、顧客へ資産が返ることを祈ります。

暗号資産の今後の見通し

以上のように、まだ確定ではありませんが、規制がなかった米国では投資家が泣き、法整備が敷かれていた日本では投資家が保護される可能性が高くなっています。
暗号資産が再び日の目を浴びるには規制は必ず必要であり、日本はその点で世界の一歩先をリードしているように感じました。

ここからは、暗号資産が今後、どのようになっていくのかを考えていきたいと思います。

今回の件で暗号資産は終わったという声が大きくなっていますが、果たしてどうでしょうか?
私の本業であるファイナンシャルプランナーという立場では、余剰資金の5%程度で万一の時に無くなってもいい金額以下でというアドバイスになりますが、今回の事件で悪かったのは暗号資産なのでしょうか?
ビットコインやイーサリアム、Huobiが大量に保有していたソラナの仕組みや運営に問題があったのでしょうか?
私はそうは思いません。

暗号資産が悪いのではなく、規制がないことを利用し、拡大するために価格維持が条件でレバレッジを効かせて経営をしていた企業が悪いのです。

今、世界中のブロックチェーンのエンジニア達はこの不正により、暗号資産が否定される風潮になっている状況には忸怩たる思いだと思います。

ここからはFPではなく、投資家としての意見を書いていきたいと思います。
決して投資を誘導するものではなく、私個人の意見として見てください。

暗号資産が再び日の目を見る可能性について

規制強化という条件のもと再び脚光を浴びる日は来ると予想します。
理由としては、3点あると考えます

・今回のショックは2022年5月に発生した暗号資産LUNAの仕組みに問題があって発生したのではない。
・日本の改正資金決済法を参考に各国が規制を強化することで機関投資家が参入しやすくなる。
・2023年後半に掛けて、アメリカの利下げが予想されており、リスクオンムードとなる可能性が高い

私が投資家として暗号資産をポートフォリオに入れている理由

暗号資産のポートフォリオを無視ができなくなると考える理由が二つあります。

・WEB3の台頭
・新興国人口の増加とコロナ禍におけるモバイル口座の普及

まず、web3の台頭です。
先日の決算でアップルを除くGAFAMの内容が悪かったように、iphoneのようにモノを作らず、プラットフォーマーとして得たデータを販売することで稼ぐ中央集権的な企業の時代は終わる可能性があります。(Web2の終焉)
今回、事件を起こした取引所も中央集権の典型であり、この事件のあと、取引所に預けていた暗号資産は個々人のコールドウォレットに移され、取引はuniswapなどのDEX(分散型取引所)での取引が急増しているようです。
世界自体が会社からDAO(自立型分散組織)への移行も予測される中、ブロックチェーンを利用した契約や公平な投票システムなど、ブロックチェーンの技術なしで達成することはできません。
これらの技術はすでに世界で必要とされ無視することはできない存在となっています。
NFTは今はまだ投機商品の域を脱していませんが、日本でも新潟県長岡市に吸収された旧山古志村の錦鯉NFTを購入することで、誰もがデジタル村民となり、村の運営に参加できるなどDAOの世界が始まっています。

・新興国人口の増加とコロナ禍におけるモバイル口座の普及
地球の人口は今後も増え続け、2022年中に80億人。2080年代には100億人に達すると予測されています。
現在、銀行口座を持たず、携帯に紐付くモバイル口座から金融サービスにアクセスする人がアフリカを起点とし急増しています。
ケニアのM-Pesaを代表するように銀行がなくとも、携帯があればお金を送金、支払いできる時代になっています。
これらの人が、国外の人と仕事や買い物でお金を使うマイクロペイメントが増えるとなれば、このニーズは暗号資産との親和性が高いと予想されます。
各国の中央銀行がCBDC(Central Bank Digital Currency)=中央銀行デジタル通貨の開発に躍起になっていますが、そもそも無限に印刷できる通貨に価値があるか?という疑問もあり、コロナ後の各国のインフレの状況を見ると、中央銀行の通貨のみに頼るというのは限界に来ていると思います。先進国である日本の通貨が米ドルに対し、2年弱で30%も安くなった現実を私たちは経験しました。

これらの状況から踏まえて、世の中に流通している資産価値のあるもの(現金、株式、債券、不動産、ゴールドなど)の中から暗号資産がシェアなくすのか?はたまた、数%でもシェアを奪うのか?どちらだろうと考えた際に私は後者を予測しています。

世界株式時価総額:104兆ドル
ゴールド:10兆ドル
暗号資産:9,000億ドル(ビットコイン3,200億ドル)

仮に株式のシェアを10%奪うだけでも暗号資産が10兆ドルとなり、現在の10倍以上になります。
更には、来年2023年末にはアメリカのFRBが利下げに転じる予想されるということは市中のマネーが増えます。マネーの約80%が株式に流れるのですが、こちらもシェアが一定で留まったとしても値上がる可能性は高いと言えるでしょう。

まとめ

・暗号資産は現時点ではゼロサムゲームの投機の域を脱していませんが、今後、規制強化による業界の透明化が期待できる。
・実需の面においてはNFT、DAOといったweb3領域が伸びる。
・銀行口座を持たない、新興国の人口増により、国際送金を介さないマイクロペイメントの普及により、実需での活用の場が拡がる。

・実需面が増えると、株式同様に価値を生み出すものとされ、長期で投資をする人、企業が出てきて、マネーという枠の中のシェアを高めることができるのではと期待。

今回の記事は、FPではなく、一個人投資家として超氷河期に突入した暗号資産の未来について考えてみました。
繰り返しになりますが、暗号資産の投資は、余剰金の中でもほんの一部で行ってください。
取引所の中にはレバレッジ取引をできるところもありますが、ボラティリティーが高すぎるのでオススメしません。
また、今回世界3番目の大きな取引所が一瞬にして破綻したように、取引所は信用しないで下さい。
もし、暗号資産を購入された際は、必ず個人のコールドウォレットに保管してください。
もちろん、日本の取引所だと先に申し上げた改正資金決済法があるので取引所が破綻しても顧客の資産を守れるとありますが、今回のケースのようにすぐに出金できず価格が下がることもあるので大切な資産は自分で守るという習慣をつけておいた方が良いと思います。

私も実は取引所内でトレードしたあと、面倒だなと思い、それなりの金額が取引所のウォレットに置いたままでしたので、今回の事件後慌ててコールドウォレットに保管しました。
恐らく1~2年は価格が厳しい状況になると思うので、コールドウォレットは貸金庫にでも預けて売買できない環境にして値段に一喜一憂しないようにしたいと考えています(笑)

今回の事件をきっかけに正しい方向で、暗号資産の業界が成長し、ブロックチェーンを活用した技術がどんどん世界で浸透していくことを期待しています。

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